食べたり飲んだり覚書

もろもろの覚書。酒飲みで食べることが好き。酒屋見習。/文房具好き。手持ち消費し新しいペンを買うためにペン習字始めました。

長野ワイン

 このピノノワールというブドウは、なかなかの難物らしく、本場フランスのブルゴーニュ以外では、米国の一部(カリフォルニアオレゴン)とニュージーランドを除いては、本当のトップレベルのものにお目にかかれない(正確に言えば、私自身はお目にかかる機会を得ていない、ということだが)。ドイツ、イタリア北部、南米、そして南アフリカなどでも作られていて、もちろんおいしいものもあるのだが、ブルゴーニュ特有のりんとしつつ妖艶さが垣間見られる、という具合にはいかないのだ。
 ところが、日本産のピノノワールを飲んで驚かされたことがある。星野リゾート社長の星野佳路さんに勧められて飲んだのは、八ヶ岳山麓で造られている、ワイナリー「ドメーヌ ミエ・イケノ」のピノノワール
 厚化粧をしておらず、やや線が細いかなと思わせられるが、やわらかな酸とブドウの良さを感じさせる質感の高い果実味が見事にバランスしていて、後口が長い。タイプは違うのだが、ブルゴーニュの名醸クロデムーシュを思い起こさせるところがある。これならニュージーランド(実はピノの名産地でもある)のトップクラスと遜色なく、ブルゴーニュの並品を軽く凌駕している、と思わされた。
 造り手の池野未映さんは、フランスでワイン造りを学び、実務を経験して帰国。一人で、ブドウ作りから醸造までこなしている方だそうだ。